Story

ケース1

わたしたちが一番大切にしている企画という仕事だから、成功報酬でお受けすることもあります。

「板金屋が誰もできなかったこと」

顧客開拓多摩地区で精密板金工場を営む(株)星製作所の星社長は、数年前から暖めていたアイデアがありました。得意先だけではなく、新規の顧客開拓や販路拡大を目指すためにしなければならないこと・・・
星製作所は、板金業といってもCADデータを元にした精密な加工を得意としており、最新鋭のNCT加工機などの設備と熟練の技術者たちによって少量多品種の対応も可能な技術力のある会社です。
しかし、既存の顧客だけでは売上は頭打ちの状態であり、せっかくの設備をフルに生かすためには景気の波にかかわらず自らが追い風を作らなければなりません。

「そんなことやっても売れるはずがない」

売れるわけがない星社長のアイデアとは、インターネットを利用してエンジニアの細かな要求にも応えられるよう個別発注に特化することができないか、というものです。しかしながら、先行する他社との差別化については具体的な方針が決まっていたわけではありませんでした。
星社長からT&Tへ相談があった際、基本のアイデアについては異論はなかったのですが、もう一歩踏み込んだ考え方を提案しました。それは、ウェブ上でリアルタイム見積を提供する、ということでした。精密加工による板金技術へのニーズとは、例えば各メーカーの開発担当者がテスト筐体(きょうたい)を試作したい場合など、スペック(仕様)に忠実なのはもちろん、リーズナブルなコストで短期間に納品可能かが重要なため、製品の品質はもとよりコストの面やスピードでも競争力が問われるのです。すぐに欲しい特注製品の価格をリアルタイムで把握することができれば、顧客であるエンジニアにとっても本業に集中しながら結果的に業務の効率を上げられます。名付けて『板金ケース.com』(外部サイトを開く)です。
ところが、この提案に星社長の周囲からは反対の意見が上がりました。コンサルタントをはじめ社内でも、ウェブ見積によって同業他社に価格が知れてしまうのではないか、見積のシステム構築に多額のコストがかかるのではないか、など費用対効果に疑問を呈する意見ばかりでした。

「企画費は成功したら、で結構です」

板金ケース予算は限られていましたが、そこまで踏み込んだウェブサイトが絶対に必要だという確信が弊社にはありました。
「企画費は成功報酬でやらせてもらえませんか?」
と星社長に申し出ました。もちろん、予算内で見積システムをチューニングしたりするのは弊社にとっても難しい判断でしたが、星社長の了解を得て具現化していきました。
ウェブサイト、ロゴマークのデザイン、商標登録、パンフレット、展示会のパネル・フライヤー・のぼり旗まで、新規顧客開拓に必要なあらゆるアイテムを企画成功報酬という契約で用意させていただきました。
リアルタイムで様々なパターンの試作ケースの見積が取れる『板金ケース.com』は、公開後徐々に顧客エンジニアから評価されるようになり、現在ウェブだけで月間200万円を売り上げるようになっています。弊社ではサイト開設の翌年「企画費という成功報酬」として『板金ケース.com』だけで売り上げた年間売上の約5%にあたる額をいただくことができました。
星社長とは、その後『自作ケース.com』という新たなサービスを展開すべく現在取り組んでいる最中です。

集合写真

T&Tエージェンシーが一番大切にしている「企画」だからこそ、『成功報酬』という形でお受けすることもあるという事例でした。

自作ケース